Never too late

いつも夢を追いかけてる ガキみたいなヤツのストレートな思いを綴ってます

Condolence

 

飛渡瀬のおばちゃん…

ここのとこ全然行かれんくてゴメンな…

 

去年入院したって聞いてて…

お見舞いに行こうって考えてたけど…

 

 

年内って聞いてたから余計に…

 

 

漸く目処がついて…

今月末に予定してたけど…

逝ってもたね…

 

 

最後に会ったのは…

丁度10年前の10月…

 

まだからからの店やってる頃で…

一人で墓参り行った時やった…

 

墓参りっても…

母方が広島の最北で父方が最南…

 

こっちを朝出たところで帰って来るのは…

いつも深夜の一日仕事…

 

母方の方は…

単にお墓があるだけやけど…

 

父方の方は島に実家があって…

その実家の近くにお墓がある…

 

その実家におばちゃんが居てて…

ばあちゃん亡くなってからは一人で実家とお墓を守ってた…

 

父方のばあちゃんがガキの頃に亡くなったから…

40年強になる…

 

 

大人になってからは…

ガキの頃みたく毎年ってわけにはいかんかったけど…

それでも色んなタイミングが合えば墓参りには行ってて…

 

そんな感じで墓参りに行くから…

大人になってからはほぼ一人で行くことが多かった…

 

 

俺はじいちゃん子やから…

じいちゃん亡くなってからは余計に行きたい気持ちが強くて…

何か会える気がしてな…

 

それに…

やっぱり御先祖様が居てて俺が存在してるって考えがあるから…

墓参りはせんとあかんものって思ってるのもあるしな…

 

だから…

他の従兄弟と比べても回数は行ってて…

少ない休みで丸一日潰れるのに…

 

 

で…

墓参りに行く度に…

 

『てっちゃん』

『遠いとこからよー来んさったのぉ』

『今日は泊まってくんか?』

 

で…

俺は毎回…

 

『仕事があるから今日帰らんとあかんねん』

『時間があれば泊まりたいけど』

 

すると…

 

『そりゃあ たいぎいのぉ』

『時間までゆっくりしていきんさい』

 

で…

墓参り行った後もギリギリの時間まで話してた…

 

途中…

俺が来てるのをどこで聞いたか分からんけど…

俺が赤ん坊の頃から知ってる近所のおばさんもやって来て…

色んな話をしてた…

 

 

父方のばあちゃんがガキの頃に亡くなったし…

親父とおばちゃんの歳が離れてるのもあって…

今思うと父方のばあちゃんって感じやったんかもな…

 

 

ガキの頃は毎年島に行ってて…

遊び道具なんか何にもない家やったけど…

楽しみで仕方なかった…

 

トイレは汲み取りやし…

水道は通ってるけど井戸も使ってて…

風呂は五右衛門風呂で板を入れて入る感じ…

 

大きな蜘蛛が出たりして…

虫系が苦手な俺は行きたくないはずやねんけど…

毎年行くのを心待ちにしてた…

 

その頃からおばちゃんは全く変わってなくて…

そゆ部分で大人になってから会うとホッとしてたんやろな…

 

何年か前に…

島で断水になったことがあって…

車に積めるだけ積んで水を持ってった時があって…

 

おばちゃんは免許ないし移動は専ら徒歩やから…

なかなか水を買うことが難しいやろなって思ったからね…

 

その時スッゴく喜んでくれて…

俺まで嬉しくなったこともあったな…

 

 

で…

墓参りで行く度に…

決まって帰りしなに…

 

『これ お土産買うなりご飯食べるなりしんさい』

 

って お金を持たせようとするから…

 

『おばちゃん』

『もう40手前やでな』

『こんなんええって』

 

って言ったって聞く耳持たずに…

 

『これは御先祖様からじゃけぇ』

『素直に受け取りんさい』

 

って…

 

俺が幾つになろうが…

赤ん坊の時と同じなんやろね…

 

以前…

俺が赤ん坊の時におばちゃんが抱っこしてる写真を見せてくれたことがあって…

あの頃の俺のまんまなんやろな…

 

 

で…

墓参りに行くのはええねんけど…

お墓が山の頂上付近にあって…

 

途中までは細いながらもアスファルトの道路やねんけど…

行程の半分くらいは山道なわけ…

 

どう見ても俺の超苦手な…

 

ヘビ

 

が居てもおかしくないし…

逆に言えばほぼ居てるような道を通るねんけど…

 

おばちゃんに…

 

『ヘビ出そうで怖いわ』

 

って…

ガキの頃から言うねんけど…

おばちゃんは…

 

『墓参りするような人に悪さはせん』

『てっちゃんの前に出て来んようにお願いするけぇの』

『大丈夫じゃけん安心しんさい』

 

って…

 

まぁ…

何回も墓参り行ったけど一回もヘビは出て来んかった…

 

 

前のカミさんと同棲してる時に…

もう結婚するからってお披露目を兼ねて行ったことがあって…

 

前のカミさんがバツ付いてて結婚式はしたくないって言うから…

式はせんつもりやってな…

 

俺にとって近い存在の人には…

紹介するのに会わせてて…

 

その時も自分のことのように喜んでくれて…

俺と同じように前のカミさんも可愛がってくれててな…

 

『てっちゃんがお嫁さんを紹介してくれた』

『こんなに嬉しいことはない』

 

って…

 

 

最後に会った時…

離婚した後初めてでからからの店をしてる時やって…

 

帰り際に…

 

『てっちゃんなら大丈夫じゃけん』

『無理せんように頑張りんさい』

『また結婚ってなったら言いんさいよ』

『お祝いたくさんするけぇの』

 

10年前のことやけど…

今でも耳に残ってる…

 

 

訃報を聞いてから…

ずっと頭におばちゃんがちらついて…

はええよな…

仕方ないよな…

 

 

これから先…

飛渡瀬に行ってもおばちゃんはもう居ない…

 

今はまだ実感はないけど…

その時に亡くなったことを実感するんやろな…

 

 

飛渡瀬のおばちゃん…

最後はしんどかったから今はゆっくりしてな…

 

で…

一つだけ頼みたいことがあるねんけど…

 

墓参りに行く時に…

ヘビが出ん来んようにお願いしとってな…

 

 


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